歴史をいくら遡ろうと、もともと銀行券の発行残高に相当する金など中央銀行が保有した試しなどなし。
金本位制のもとでは発行した紙幣は金との兌換可能通貨であることから、中央銀行はその分の金を保有しておかなければならなかった。したがって複式簿記のもとでは、発行した通貨は負債勘定に記帳し、金地金は資産勘定に記帳される。現代では金との兌換は必要なくなったが、通貨価値を保つために引き続き通貨発行を負債扱いとすることを継続している。こういう論旨を展開しているのが日銀である。
ホンマかいな…?。
自分は社会的な建前論を知りたくてこの問題を考えているわけでなく、本当の史実の連鎖はどのようなものであったのかが知りたくて、つたない知能を酷使しているわけだ。
まず、発行した紙幣と同額の金資産を中央銀行が保有していた…というような事実がかつてあったのかどうか?、その証拠はあるのかどうか?、という問題がある。
ルールに誠実な日本人のことだから日本銀行では戦前それは事実であったかもしれないが、この制度そのものを作り出した本家本元の英国ではどうであったか?。
本家本元といえば、ユダヤ人金融家が支配していた英国と、ユダヤ人金融家が創設したアメリカのFRBということになる。そこではどうであったのか、ということが日本以上に問題なのである。第一次世界大戦までは英国ポンドが基軸通貨、第二次世界大戦以降はアメリカのドルが基軸通貨であったのだから。
世界恐慌後のイギリスやフランスの中央銀行では本当に発行した通貨、ポンドやフランの発行残高に相当する金を保有していたのかどうか?。
ニクソン大統領がドルの金兌換停止を宣言した1971年のFRBのドル紙幣発行残高と金保有残高を知っておく必要がある。
こういう史実を明記することなく理念やルール、そして理念やルールの変更ばかり論じることに興じている学者や評論家の存在が信じられないのである。
この問題については経済規模が拡大する中で金の保有量を通貨の発行量合わせて増加させることは事実上不可能であるのだから、基本となるそもそものルール自体が実社会に対して不適格だったわけである。
ところが、その実社会に対して不適格だったルールのうち、発行する通貨はそれに見合う金を購入しなければならないルールなのだから実質負債であり借金である、という口上のうち「負債であり借金である」という部分だけは何故だか残してしまうのである。金は購入しないことになったのだから、通貨の発行は本来負債でも何でもないことは言うまでもないことだ。
このような欺瞞的な議論は、水を飲み空気を吸わなければ生きていけない人間に対して水や空気は地球の生み出したものだから地球からの借財であり返済する義務を負うのは当然である…と言うのに等しい。それじゃその地球の持ち主というのは誰なのか、まさか将来出来るであろう世界政府だとでも言い出すのだろうか…?。
参考memo
アメリカの金保有高は1949年に245億ドルあったものが1970年には111億ドルまで減少している。これに対し1970年のドル発行残高はM1で2144億ドル、M2で6265億ドルとなっており実に保有する金の60倍近い流通量があった。ベトナム戦争による巨額な出費も大きく影響している。こうした状況下1971年8月13日、イギリスがアメリカへ30億ドルの金交換を申し出ると、アメリカは持ちこたえることができなくなり2日後の15日にはニクソン大統領が金とドルの交換を停止を宣言することになった。イギリスもアメリカもユダヤ金融勢力の支配下にあり、これなど打ち合わせ済の出来レース間違いなしといったところだろう。